湯山 玲子(ナビゲーター・プロデューサー、爆クラ主宰)
まずは、すでに来ていただいた皆様方からたくさんのfacebook投稿をしていただき、シェア設定の方々は私のページで紹介させていただきましたが、湯山昭という作曲家の「多分、放っておけば無いことになってしまう」クラシックの器楽、歌曲などを体験していただけて、神社風に言うならば、本願は成就いたしました!!! みなさま、本当にありがとうございました。
演奏者の、福田廉之介さん(ヴァイオリン)、ロー磨秀さん(ピアノ)、林正子さん(ソプラノ)、石野真穂さん(ピアノ伴奏)、新垣隆さん(ピアノ)、上野耕平さん(アルトサクソフォーン)、池上秀樹さん(マリンバ)、そして、急遽4日間で集結した、慶応と早稲田の有志のみなさん。湯山昭作品を演奏していただくに当たって、現時点で最高のプレイヤーたちが、素晴らしい演奏をして下さいました。これが高山初演の再演なのですが、一年間で音楽がグッと身体化している。上野さんもトークで言ってましたが、「毎回、曲の違った面が見えてくる」。そう、それこそがクラシック音楽。今回を皮切りに、このレバートリーが演奏される機会をつくっていきますので、みなさんにはその都度お声がけさせていただきます。
企画、プロデュース、出演と、結構な重量感のあるお仕事だったのですが、60代の最初に相応しい内容だったと思います。よくみなさん「若いからエネルギーでもって、アレができた」と仰有いますが、私の場合そういう体験があまりないんですね。それは、「同世代チーム」や「目上からの抜擢ポジション(責任とおカネつき)」が、私の世代の女性には不可能だったから。バブル期にたくさんの同世代の男性プロデューサーたちがブイブイ言わせていましたが、彼らのように「元気良くやっていると、自然と声がかかるチャンス」ってのはまれ。要するに遅咲きにならざるを得なかったというわけです。
旧態依然な会社の話ではなく、実はリベラルなはずの表現分野で“自然と”コレがおこってしまうという文化風土ですね。この日本の根深い状況は、実は「地方、女性活用、みんなが平等で仲間」が建前となった現在でも色濃く存在しているので(そんな事無いよー、という男性当事者の声が聞こえてきそうですが)、湯山仕事の別途、著作にてお伝えできるかと。
さて、今回、父に縁のある会社や団体の皆様には、協賛、後援、ご協力をたくさん頂戴しました。全音楽譜出版社、カワイ出版、日本コロムビア、全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)、音楽之友社各社のみなさん。父の音楽をこれまで応援していただいた方々とは、直接今回の件でお話しできて、今後いろんな、湯山昭案件を仕掛けていけそうです。そう、湯山昭には「童謡」という大金脈があるのですよ。井の頭線の久我山駅では、湯山昭の「おはなしゆびさん」らの童謡がジングルで流れていますが、そのご縁にて京王電鉄さんからは全駅にポスターを貼っていただきました。
そして、何よりも全ての「爆クラ」案件に実力あるサポートをしていただいている、フランスの紅茶メーカー、JANAT & FEMMES DU MONDEには最大級の感謝を。私の着たドレスは、蝶理株式会社ECO BLUEという再生繊維で、4月にローンチする、湯山のファッションブランド<OJOU>の新ブランド、OJOU by the Seaからの、そして、耳と胸元に煌めいていたダイヤモンドアクセサリー貸与(総額1200万!! ホントだよ)は、かつてお仕事をさせていただいたカシケイさんからのご提供でした。今回、クラシックアルアルの公的支援が無い中の公園だったので、久々に広告営業の現場を体現、そして、ポスター貼り巡業もしちゃった。恵比寿新聞の高橋ケンジさん、聖児セミョーノフさん、ありがとうございました。
そもそもこの公演は、飛騨高山の高山市民文化会館大ホールで一年前に行われた公演の再演になるのです。「父の作品をセレクトして世に出す」という機会をよくぞ与えてくれた、高山市文化協会のみなさん、特に実質的にその場をつくってくれた、平川治さんにも大感謝です。コトリンゴの新作交響曲初演も高山でしたし、今後も長いお付き合いになりそうです。
もはや、すでにワタクシ、オンタイムでfacebookアップしていますが、本番4日前のザ・レジェンドのみなさんのコロナ発症+陽性降板からの、本番、慶応と早稲田の有志による「ゆうやけ男声合唱団」が実現したことは本当に「音楽の奇跡」でした。メンバーの吉田知明さん、御本人こそが陽性失意の状態から、ご紹介いただいた慶応関係者の仲光甫さんこそが、最大の功労者であり、もうもうこの御恩は一生忘れません。そして、もともとは券売に協力していただいていたはずなのに、いつのまにか舞台で歌うことになってしまった、早稲田チームをまとめていただいた、櫛引雅亮さん。なんと、彼は中学の同級生で、現在大手商社の監査役の重職ながら、そのフットワークと音楽愛に感謝です。
今回、このコンサートに際し、事前に爆クラで片山杜秀さんと「日本の作曲家」について語ったこと(勉強のため凄い量の作品を聴きました)、当日のお客さんの反応を見て、はっきりと、湯山昭の音楽性、その魅力と限界、だからこその剥き出しの音楽の素晴らしさ、そして、日本のクラシック音楽の風土全般について、もの凄く重要なツカミを得ました。ワタクシにとってこの湯山昭コンサートは、上ってみて初めて見渡せる世界があった、ということです。
ちなみに、ちょっと途絶えていた次の著作は、「音楽」に関してになると思います。
伊藤 中(美容・健康食品コンサルタント)
少し前に湯山さん主催の爆クラでレコードを聴くというイベントがあり、そこで初めて聴いて衝撃を受けた合唱曲「ゆうやけの歌」が今回の個人的なメイン。ただ、その他の曲も大変興味深く、また湯山さんセレクトのミュージシャンにも期待で、わくわく。
結果、ほんとにお世辞抜きで、期待以上で面白かったし、収穫多いコンサートでした。
まず、出だしのピアノとバイオリン。戦後間もなくで、ロクな楽器もない時代に、何故こんな曲が作れるのか。軽やかなピアノと繊細なバイオリン。こんなにデリケートに鳴らせる楽器は無かった筈だし、こんな技巧をこなしながら、かつ芸術的に奏でられる演奏者もいなかったはずの時代に!!と驚くやら感動するやら。湯山昭先生の底知れぬ才能に驚いたところからのスタートで掴みはOK。
実は前々から気になってたピアニストのロー磨秀くん。初めて聴いたのだけど期待以上の素晴らしさでした。そのまま伸びていってくれー、とクラシックに関しては枯れ専のワタクシは祈るばかり。湿ったベタつきとか、粘っこい情感とかのない、インテリジェンスな音に震えましたです。
その他も、ソプラノの林さんは、歌も凄いが、喋りも面白く。マリンバやサックスもジャジーでカッコいい!と感動したわけだけど、やはり締めは合唱。本来なら男声八人で歌うはずが、コロナで急きょ変更、突貫で仕上げた34人の編成になったと聞いていたのだけど、合唱を聞きたかった私的にはむしろ大正解。男声合唱良いな!ww
期待の「ゆうやけの歌」は、以前レコードで聴いた時は、その歌詞のアバンギャルドさにあっけに取られて曲や声楽的な素晴らしさに気づいて無かったのだと改めて。純粋に合唱音楽としての素晴らしさと、グルーブ感に震えました。ま、歌詞はやっぱりはちゃめちゃで、2ページで挫折したフィネガンズ・フェイクを思い出したけど、これが70年代アバンギャルドってことなのかなと。このエネルギーは今の日本が失ったモノなんだろなぁ。
オペラシティのコンサートホール、タケミツメモリアルには苦い思い出がありまして、過去に2回ほど友人に誘われて第九を聴いたのだけど、オケには小さすぎたのか、壁の反響がキツすぎて、その反射音との歪んだ和音に耐えきれず、ま、その時のオケの下手くそさにも耐えられなくて、途中退席したことが。なので、個人的には避けてたホールだったのだけど、今回は音響も素晴らしく、小編成とか声楽には向いてるのかも、と評価を新たに。これも自分的に大発見。近所なんだし、もうちょい頻繁に来ようかな。これも収穫の一つ。
気がつけば、寝るどころか覚醒してました。元気をありがとう湯山さん。
このコンサートは、娘から父への親孝行なのだなと、湯山さんの愛を感じずにいられず。やっぱり素敵な人。ますます大好き
ほんとにお疲れ様でした。ゆっくり休んで、また次の企画を楽しみにしてます^_^
花千代(花千代フラワーデザインスタジオ代表/フラワーアーチスト)
オペラシティホールで行われた湯山昭コンサートへ。90才の父親のために娘の玲子さんがプロデュース
いやはや初めて生で聴く「夕焼けの歌」には度肝を抜かれた!空間を破る叩きつけるピアノ音からはじまるイントロ、ピアノの激しいパッセージにのるアバンギャルドな歌詞!
私たちが夕焼けをイメージする長閑な、牧歌的なものとは対局にあるパワフルでエロスさえ感じる楽曲を男性合唱団が歌う迫力!
現代音楽はジョン・ケージの「4分33秒」を産み出し、音の無い世界の価値を知らしめてくれたけれど私は音のある世界で死にたい、と思った瞬間でした………
加藤 浩子(音楽物書き)
敬愛する湯山玲子さんのご尊父で、童謡などが有名な作曲家ですが、実はクラシックの王道で、多彩でアヴァンギャルドな作品をたくさんのこしている。それがあまり上演の機会がなくて残念、ということで、玲子さんが企画したコンサートでした。会場には父、そして娘宛のお花がいっぱい!
出世作の「ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ」から、歌曲、ピアノ曲、マリンバとサクソフォンの作品、男声合唱まで色とりどり。本当に幅の広い創作活動をされたことがよくわかります。
今回、出演予定だったオペラユニットにコロナ感染者が出て、直前にキャンセルを強いられ、急遽ピンチヒッターとして、大学合唱団のOB がラストの「ゆうやけの歌」を歌うというハプニングも。これが思わぬ迫力で、災い転じて!という感がありました。
個人的に面白かったのは最後の2曲。「マリンバとアルト・サクソフォーンのためのディヴェルティメント」は、まさにアヴァンギャルド。パフォーマー(上野耕平さん、池上英樹さん)の超絶パフォーマンスもあり、手に汗握る音楽が展開しました。最後の「ゆうやけの歌」も、ぶっ飛びそうに大胆なテクストと共に迫力満点。即席で結成された合唱団もパワフルで、男声合唱の魅力全開でした。
最後は客席からお父様がご挨拶。今年九十歳を迎えられるということですが、なんとお幸せな日だったことでしょうか!
Sublime Records YAMA
ギリギリ間にあった後半戦、、新垣隆氏(ピアノ)からはじまり上野耕平氏(アルトサクソフォーン )×池上英樹氏(マリンバ )と最後の男性コーラスによる歌唱までホントに良かった。
何よりこのクラスのホールでしか体験出来ない演奏はもとより生音の響きや奥行きといった感覚を楽しめたのは新鮮でした。
國吉 絵麻(広告代理店 デジタル・プロデューサー)
昨今の重い気分を吹き飛ばす、素晴らしくイカしたクラシックに感動しました。
「どれが一番良かった」と選べない極みのセレクション。ど頭の「ヴァイオリンとピアノのための小奏鳴曲」であっという間に引き込まれてから、終盤の「マリンバとアルトサクソフォーンのためのディヴェルティメント」と「ゆうやけの歌」で激るナニモノカを投げつけられるまで、ワクワクしっぱなしの2時間半(?)でした。
中盤のピアノ曲集「お菓子の世界」は、私にとっては幼き日のピアノの発表会(@日仏会館)で慣れ親しんだメロディー。湯山さん親子を眺めながら、亡き父を想い出して少し切なくなるなど、色んな感情を掻き立てられたひとときでした。
山田英幸(仕覆作家/もとバンド仲間)
そして、午後は東京オペラシティの「湯山昭の音楽」by 爆クラ へ。
湯山玲子という天才の親はやはり天才だった、という、単純な事実を確認。
歌曲はじめ、ピアノが登場する曲が多く、ピアノの鍵盤がよーく見える席だったので、その超絶っぷりに唖然。
特に一曲目、「ヴァイオリンとピアノのための小奏鳴曲」。1953年、湯山昭氏21歳の時の作品が超絶カッコいい!!
ほんと、フォーレかラヴェルかって感じのモダンで繊細でチョー弾くのむづかしそうな曲ですが、その「和声」が素晴らしい。
湯山(玲子のほう)も言ってたけど、あまたある歌謡曲やポップスには登場しない和音がある!! ってことにあらためて気付いたし、実はそういうのが好き! ってことにもあらためて気づいた、貴重な演奏だった。
あと、日本の1950〜60年代って、ほんとにモダン/アバンギャルド志向というか、みんなの気持ちのベクトルが「未来」あるいは「破壊」はたまた「理想」に向いていたんだな、と、その若さというかオプティミズムがまぶしかった。
いまはほんと、ペシミスティックな時代になっちゃったからねー。保守的でやな時代。(着物の着付けもしかり、、、)
あと、やはり、「ゆうやけのうた」。
テナーのひとりが高い声で「木遣」のように歌うところがあるんだけど、不覚にも涙が出てきましたよ。
男性オペラユニット「レジェンド」が急遽出演出来なくなり、かわりの急仕立ての男性合唱団、誰かも書いてたけど、かえってよかったかも。
「声のチカラ」、ハーモニーの力強さをまざまざと感じられて、本当に圧倒された。
ほんと、素晴らしかった。
天才が家に毎日いる、って生活は想像もできないし、たぶんいろんな軋轢があったことだと思う。
でも、湯山玲子もこの歳になり、素直に父上をリスペクトし、このような他の誰にもできないコンサートを企画、実現したことは、本当に素晴らしいことだし、褒めてやりたい。そしてお礼をいいたい。
いいもの見せてもらいました。あ、聴かせてもらいました。
湯山、おつかれさまでした。
髙橋 ケンジ(恵比寿新聞 編集長)
「お菓子の世界」「おはなしゆびさん」などの日本屈指の童謡作曲家であり湯山玲子嬢の父君でもある湯山昭のトリビュートコンサート。
コンサート前、湯山さんからは「父親だからじゃないんだが彼の曲の変調や突然訪れる流れは凄いモノがある」と聞いたんですが予想を超えました。
今回は湯山昭メインストリームではなく裏湯山昭的、実の娘であり湯山昭音楽を誰よりも聞いてきた湯山さんがセレクトした楽曲を今まさに活躍するプレイヤーの皆さんで奏でるというもので、DJをやってきた僕からするとサンプリングしたい旋律だらけで最初から最後まで圧巻のクラッシックコンサートでした。
新垣隆さん演奏による「お菓子の世界」凄かったなぁ。「ヌガー」の寸止め感と「甘納豆」では何故かなんだか聞いたことが無いのに懐かしくて涙がでそうに。
「マリンバとアルトサクスフォーンのためのディベルメント」は踊れるほどにダンサブルで反復するかと思いきや急に洞窟に迷い込むかのような幻想的な凄い曲でした。サンプリング世代のわたしはいただきたいフレーズが沢山。
やはり最後でしたね。今までコンサートには沢山行きましたがこれ程までにギリギリでアバンギャルドで噴きそうになった事はなかった凄い合唱曲「ゆうやけの歌」は凄かったね。これはみんな聞くべき混沌とした1968年に産まれた「自由」なんだなと。
一緒に行ったはなゆきのゆきえさんと終わってから復習するほどの曲でした。ジュピター。