CONCERT
コンサート
『お菓子の世界』『ゆうやけの歌』……、あの感動が蘇る
1970年代に、こんなに自由でカッコいい音楽が存在していた。
「おはなしゆびさん」等の童謡、ピアノ曲集『お菓子の世界』や合唱曲で知られる湯山昭は、戦後に頭角を現した作曲家の中では、多くの人々が彼の曲を演奏し、口ずさんだという点で、最も大衆に愛された存在です。
その一方で、湯山昭が1960〜70年代に発表した器楽曲、歌曲、合唱曲は、実験的かつモダンでアヴァンギャルド! 洒落たメロディーを生かす印象主義音楽を思わせる和声、セリー技法やジャズのモードをスパイスのように効かせためくるめく色彩感、日本語の歌詞と渾然一体となった抒情性は、日本のクラシック音楽における至宝といえます。
「多分、世界中で一番、湯山昭の音楽を聴いている」という娘・湯山玲子が選曲し、プロデュースする湯山昭の音楽世界。その、ダイナミックな光と影は、みなさまの心に音楽の美しさ、エネルギーを呼び活けることでしょう。
PROFILE
プロフィール
湯山 昭 Akira Yuyama
1932年9月9日、神奈川県平塚市生まれ。東京藝術大学音楽学部作曲科在学中に、第22回日本音楽コンクールで「ヴァイオリンとピアノのためのソナチネ」が第1位次席、第23回には「弦楽四重奏曲」が第2位入賞で頭角を現す。「おはなしゆびさん」「あめふりくまのこ」に代表される童謡のほか、現在、153版という驚異的な重版を重ね、大人から子供まで愛奏されているピアノ曲集「お菓子の世界」、器楽曲「マリンバとアルト・サクソフォーンのためのディヴェルティルメント」、合唱曲「四国のこども歌」「葡萄の歌」など、幅広い分野での数々の名作を世に送り出している。1970年に合唱曲「コタンの歌」で文化庁芸術祭大賞。1973年、1976年に日本童謡賞。1993年に第5回サトウハチロー賞受賞。2003年旭日小綬章受章。2001年より日本童謡協会会長。その音楽は、魅力的なメロディーラインに斬新な和声感とリズム、無調などの現代音楽手法も取り入れつつ、美しさ、楽しさに帰結する独特の魅力に溢れている。TBSの倉庫に眠っていた日本人名作曲家たちの知られざる傑作音楽を集大成したCD「戦後作曲家発掘集成~TBS VINTAGE JCLASSICS」に収録された「10人の奏者のためのセレナーデ」により、その器楽曲に再評価が高まっている。